キャリア 証券業界のキャリア

証券マンの富裕層営業のトレンドとこれから(コンプラで足をすくわれないために)

更新日:

証券会社の個人営業において、注意すべき営業のポイントコンプライアンス面から解説します。

検査や着目されるポイントが過去から次第に変わってきています。現役証券マンは不意に足をすくわれないためにも、脇を締めたセールスが大事です。

 

本記事の内容

証券業界の個人営業で気を付けるべきコンプライアンス面のポイント

どうぞご覧ください。

 

証券マンの営業のトレンドとこれから


近年は金融業界が激変を迎えている時代です。Fintechの台頭、キャッシュレスの浸透、ネット銀行やネット証券の登場で、金融のレガシー的な分野についても
10年前と比べて随分と変わってきたように思います。


金融機関の国内の従業員の大半は、各地で営業職に従事しています。証券業界も同じ。

特にリテール顧客をメインに取引する証券業界は、「顧客本位」とか、ニーズとか、適合性などといった、コンプライアンス面で注意ポイントが従来からたくさんあり、かつそれらもどんどん変わっていきます

今の証券業界で証券マンが「足をすくわれない」ために気を付けておくべきコンプラ面での注意ポイントを挙げてみました。

 

今のトレンド、及び今後より着目されていく内容を記載しています。明日契約する取引が、注目ポイントが変化した2年後に問題になるかもしれませんので、将来の注目ポイントを学んでおくことも大事。

 

 

証券業界の適切でない営業

 

ある大手証券の営業社員と、70歳代のおばあさんとの取引。

 

営業社員〇社ってご存知ですか?アメリカの会社なんですけどね

老人顧客〇社?あまり知らないねえ。アメリカ?外モノ(外国株)はよく分からないし、ちょっとねえ...


営業社員確かに外株なんですけどね、〇社の株、今とても割安感があって。タイミング的にもいい頃合いなので是非持って頂きたいんですが、今お口座拝見しますと、余っているご資金が500万おありなので、こちらでいかがでしょう~?

老人顧客ああ、、そうなの?んー、じゃあまあ、、それで

顧客は外株を購入します。

 

一週間ほどの後。

営業社員「先日お買付け頂いた〇社の株、お買付け時点で350円だったんですが、今日355円まで来ています。実は今ちょうどいい銘柄が出てきまして。▲社の株なんですけど、今注目されているバイオテック分野で有名な企業なんです。

老人顧客「バイオテック?はあ。

営業社員「今お持ちの〇社の株をご売却して利益を取って頂き(利益確定)、▲社に換えて頂くのが、タイミング的にも良いように思います。▲社は今後注目の銘柄で、米国企業は一般的に底堅くて下落時も戻りが早いですし、長く持っていただけるいい銘柄と思いますよ。

老人顧客「はあ。そうなんですか

営業社員「店頭と委託はどちらでおご注文致しましょうか?

老人顧客「店頭?んーよく分からないので、いつもの感じで

営業社員「了解です。じゃあ、店頭で決済させて頂きますね


一週間後

営業社員「今お持ちの▲社の株ですが、ちょっとトランプさんの米中摩擦の関係でやや下がっていますね。とは言え、米国株は戻りも早いですので、ここで300万円ほど買い増ししておいて頂きたいんですね

とナンピン買いを提案。


さらに3日後。

営業社員「今アメリカの景気が非常に良くて、IT関連の■社の今回の四半期決算がとても好調だったんですよ。市場予想を上回る利益で、顧客数も伸び続けているので今後もこの勢いは続くんじゃないかなと言われています。以前にお買付頂いた▲社の株ですけど、こちらはやや伸びが鈍いので、▲社の株を戻して頂いて、■社のお買付のご資金に回して頂くのが、今の環境としてはベストなのかなと思います

老人顧客「ああ、、そうなの?じゃあまあ、、それで

営業社員「店頭と委託は、いつも通り店頭取引でしておきますね

老人顧客「ハイハイ

 

 

どこが問題だったのか

上記のような取引は、証券会社の営業現場では普通に行われている取引。特に70歳くらいのい高齢者との取引は、こんな感じです。

問題になるのは、まずは顧客の理解力。あまりよく分かっていないまま、受け身で取引していますね。

営業社員に言われるがままになっている点も良くないでしょう。取引主体としての意思が薄いですね。

また外株取引をやや敬遠しているにも関わらず、押し切る形で取引。


回転具合も過度です。そもそも「長く持っていただける株だ」と言っているにも関わらず、一週間ほどで他の株に乗り換えています。

 


さて、教科書通りに問題点を指摘してみました。どう感じられたでしょうか。


まあ、このくらいはねえ」という感覚の人が多いのではないでしょうか。正直言って、営業社員が主体でこのように取引を仕掛けないと取引が発生しませんし、ノルマだってありますからね。達成できないと自分が困ります。

このような取引は、これまでもごくごく自然に行われてきたものだと思いますし、自分自身が営業に携わった経験からも「そりゃあるよね」という感覚があることは否めません。


しかし時代の移り変わりの中で、金融営業に対するコンプライアンスや顧客本位のあり方の議論が活発化しています。変化の風は金融業界のお勤めの方なら誰しも感じ取っていることではないでしょうか。

従来の常識ではありえなかった行為までモニタリングが為されるようになっており、感覚、認識や感度の僅かなズレがある営業社員が地獄を見ることになります。

Sponsored Link

 

 

これからの金融営業で気を付けるべきこと

 

これからの証券業界の個人運用の営業社員が気をつけるべき点を挙げました。

ポイントは7つあります。

注意すべきポイント

  • 回転数、売買頻度
  • 支配性
  • 理解力
  • ニーズ合致性
  • 手数料率
  • 顧客の収益(運用パフォーマンス)
  • 満足度

 

注意ポイントを一つずつみていきましょう。

 

回転数、売買頻度

一番には、同一顧客で回転売買をさせないこと。

新たに資金導入があった上での買い付けであればまだいいですが、同じ預かり資産で、次々に購入と売却を繰り返す回転売買は、かなり厳しい目を向けられると考えておきましょう。

金融機関を監督する金融庁も「投資は中長期目線で」と言っています。


回転率についての社内チェックはおそらく色んな証券会社で開始されているようです。「投資信託の乗り換えが厳しくなった」と何人もの証券会社の知人が話していますから、投資信託の回転売買は随分となくなったようです。

しかし、投資信託の回転率チェックは厳しくなっていても、株式の回転はチェックが甘いとも聞きますから、株の売買の繰り返しは、今も実際にやっている営業社員の方もいるはず。

 

例えば、1年間の間に売買を20回も30回も繰り返していれば、これは過度な売買の繰り返しだと言われてもやむを得ないでしょう。

回数に明確な基準はないし、そのチェックもないし、明確に「どのくらいの回転だったらダメか」と決まっていないのが現状だと思いますが、実はルールがないことが「会社が許可している」というわけではないことは要注意です。

「規則違反じゃないしね」という認識でやっていても、会社側から「どう考えてもやりすぎだ」と急に罰せられることがあります。

要するに、社内ルール上で大丈夫でも、罰せられることがあるということ。(最悪なことに、それを見ていたはずの支店長も上司も守ってくれませんよ)

 

ルール上OKかどうかではなく、一般常識として妥当かどうかで自分のセールス行為を判断する必要があるでしょう。

 

 

支配性

支配性とは、お客さんを営業社員がどのくらい支配しているかです。

 

「支配する?」

とピンと来ない方もいらっしゃるかもしれませんが、取引をお客が自分の意志で実施しているかどうかがポイント。

 

営業社員のセールス話術に言われるがままに「はあ、よく分からないけど、それで」というように返事はしているものの自分の意志で取引をしているかどうかが疑われるものは、「営業社員がお客を支配している」に該当するかもしれないので、要注意です。


音声上「はい」と返事をしているとか、印鑑を押しているとか、こういったエビデンスで「顧客の意志で、顧客が納得して取引していますよ」というのは古い感覚。通用しなくなりつつあることを認識しておいてください。


実際は営業員が思いのままに売り買いをさせていると判断されれば、「不適切なセールスである」と判断されてしまうリスクありです。

 

 

理解力

先ほどとちょっとかぶりますが、お客さんが取引を理解しているかが重要なポイントです。

金融業界のお客さんは、70歳80歳など高齢のお客と取引をすることも多いので、
しばしばこの「お客の理解」が問題になります。

 

なんだかよく分からないけど」という発言がある場合はもちろんアウトです。

そうじゃなくても、例えば「返事のあやふやさ」とか、よく分かっていなさそうな雰囲気は電話の会話録音を聞かれればすぐに分かります


また、高齢客だけではないです。仕組債など難しい商品は、そもそも商品性の理解が難しいのですが、だいたいのケース、顧客は理解していないでしょう。

なんなら理解しようともしていないかもしれません。

 

しかし、顧客が詳しい説明を望んでいる、いないに関わらず、理解していない状態での契約締結や取引は数年後に指摘が入る可能性もありますし、相当注意したほうがいいでしょう。

 

「理解すべきこと」はどんな会社の株なのかとか、どんな銘柄が入っている投資信託なのか、またノックインしたらどうなる仕組債なのか。このような商品性やリスクだけではないかもしれません。今後は手数料も含まれていくと考えられます。
購入にかかる手数料が何%なのか。実額でいくらなのか。

こういった「コスト」についても十分に顧客が理解・認知しているのかというチェックがどんどん厳しくなりますよ。

Sponsored Link

 

ニーズ合致性

金融業界の現場で勤務されている方であれば、「顧客ニーズに合った提案をすべし」なんて、耳にタコが出来るほど言われているでしょう。

勧める商品がお客さんの求めているものと合致しているかどうかは、あまりにも当然な着目ポイントですよね。


問題なのは、「これください」と顧客が自分から申し出てくるケースなど稀であること。

"黙ってても列を成して買いに来てくれる客が止まらない"

今の日本に、こんな感じで売れていく商品があるでしょうか。残念ながら、ないですよね。


なので、売上を上げていくなら、ある程度お客さんの注意を引き、魅力を訴え、買う気にさせるしかありません。

ニーズの喚起ですね。

 

ここで問題になるのが、誘導のやり方。

最終的に「買います」と言わせ、ニーズを喚起したと言っても、執拗に買わせるほうに誘導したりその過程でメリットしか言わないようなセールスをしていた場合、それはニーズを正しく喚起したことにならないので注意です。

 


また、単に「欲しいという発言があった」ことでニーズがあるとみなせるかは難しいところ。

例えば高いリスクと魅力的なリターンのあるブラジルレアル建の仕組債を79歳のおばあさんが必要だろうかという観点です。

仮に「ああ、それはいいわね」という発言があり、良好な反応だったので「顧客ニーズあり」と取引記録にも書いたとしても、それは本当にニーズがあったのか、必要な商いだったのかということが取り上げられるリスクもあります。

 

 

"何が顧客ニーズか"

この問いは非常に難しく線引きや基準が明確でない面があるのですが、ちょっとやりすぎると後々それが問題になるリスクは十分にあるので注意です。

くれぐれも他の人と感覚がズレないよう、バランス感覚を研ぎ澄ましておくことです。

 

 

手数料率

預り資金対比でみた手数料率」は、回転売買を抽出できる非常に便利な指標です。

仮にお客さんが毎回納得して買っているとしても、結果的に回転売買が多くなりすぎると、預り資金額対比で見て、もらっている手数料の割合が高すぎる状態に陥ってしまいます。

今コンプラ面で注目されている指標であり、かなり注意を払うべき項目です。


「株のトレードがとても好き」という客もいます。こういった客は、この回転率がどうしても高くなってしまうことも多いです。

外株の売買が社内検査で注目されてしまうと、仕切り取引と委託取引の別をしっかりと説明しているかや、それらを顧客が理解できているか、また故意に仕切り取引に誘導していないかなどがチェックされるでしょう。


近年はどの証券会社も外株取引に注力している傾向がありますので、こういったチェックも後追いでどんどん厳しくなると考えて下さい。よって、今のうちから脇を締めたセールスを心掛けるべき。

 

 

顧客の収益(運用パフォーマンス)


お客さんにセールスし買ってもらった運用商品、金融商品のパフォーマンスは、結局は相場次第。マーケットが急落すると、パフォーマンスは当然悪く出ます。

 

お客さんが損したのは、マーケットが悪かったから。

自分の責任ではなく、結局アンコントローラブルである相場という要素がお客さんの運用利益を決定してしまう面が強すぎるため、従来はこの指標に関心も注意も払っておらず、コンプライアンス面でも全く注目されていませんでした。

この慣例は「証券本社からのトップダウン指示により販売できる商品が決まっていた」時代には、適合的です。


しかし、今はどうでしょうか。

証券本社からのトップダウン的な商品毎のノルマは消えている、あるいは少なくなっている会社が多いですよね。「営業社員が自ら勉強を重ねて商品を選択し、顧客に相応しいモノを売りなさい」というのが今現在の態勢。

こうなると、営業社員がそれぞれ色んなものを提案するので、顧客の運用パフォーマンスが違ってきます。そうすると、「顧客にいい商品を提案できるヤツと、そうでないヤツ」と差が出てきますよね。

相場の変動を言い訳にできなくなるのです。

 

顧客にいい商品を提案できるやつが顧客本位のセールスをできている」ということとなり、「あれ、三課の〇〇君の客は含み損ばかりじゃないか...」と、内管責や監査担当の目を引いてしまいます。

その時に、提案商品にブラジルレアル建てなど過度なリスク性商品が入っていたりすると、分が悪いですね。

 

「もう少しリスクを考えた提案をすべきじゃない?」と何らかのコンプライアンス上の指導を受けたり、業績評価上のマイナス点になってしまう懼れもあります。

 

 

お客さんの満足度

お客さんの満足度を業績評価に取り入れる会社も増えてきているようです。NPSといった顧客の満足度を測る指標を取り入れている金融機関も増えていると言います。お客へ郵送で満足度調査アンケートなどを送っている取組みをしている会社は、金融機関以外でも多いです。


証券業界としてはお客のニーズに適合した金融商品を提案して、その金融商品から利益を出してもらうことで、お客さんの満足度が上がるようにセールスする必要があります。


ところで、お客さんの満足とは何でしょうか。個人のお客さんは、証券会社とお取引をすることで何に満足するのでしょうか。

 

第一には、運用益でしょう。

金銭的にリターンが入ることが投資の主目的でしょうし、その目的が達成されれば当然満足度は上がると考えられます。


しかし、顧客の満足は、金銭面だけで上昇するわけでもない

例えば、営業員の人柄が好きとか、懸命な情報提供、親切なアフターフォローがいいね、とか。誕生日に電話したり、花を持って行ったり。たまに食事をして、プレゼント。

こういう「金銭以外」の要因で、顧客の満足度はかなり変動するのは実感あると思います。


仮に持っている株の含み損が大きくても、よく営業社員がお客とコンタクトを取っていれば、顧客の満足度が非常に高いケースだってあり得ます。

お客さんも人間なので、必ずしも金銭だけで満足を測ることは出来ないんです。

 

ベテラン社員の方々や、デキる営業社員はこのことをよく熟知しているので、コミュニケーションに重きを置き、お客さんとのリレーションをいつも良好に保っているでしょう。

 

ところが最近は、この良好なリレーションを背景に、顧客が営業社員に依存し、それをいいことに手数料を過度に取るようなセールスをしてしまうケースに目が向けられていると言われます。

例えばいくら投資信託の乗り換えをさせられたリ、(顧客から見て)よく分からない株を購入させられたりしても、お客さんは営業社員のことをすっかり気に入ってしまっているので、アンケートも「大変満足している」。

しかし裏では手数料はどんどんかさんでいきます


こういうリレーション構築ののあり方は、これまでは社内的には成功事例として模範的な扱いを受けていたでしょう。


しかし、世の中の流れがやや変わってきており、お客を懐柔することで得られる過剰な取引は危ないかもしれません。

真の目的は、やはり顧客に薦めた商品が顧客に利益をもたらすこと

独り身のおばあさんとお話してあげることが証券マンのサービスの主体ではないのです。

金融サービスに従事している以上、リレーションだけの顧客満足に甘んじてはいけないということです。

 

 

証券業界の営業職の今後


証券業界の個人営業社員が、コンプライアンス面で足をすくわれないために注目したいポイントを解説しました。

現在のトレンドと、そこから見た今後の予測も織り込みました。


金融庁が発している「顧客本位の業務」という号令の元で、野村證券や大和証券など大手各社の個人営業のスタイルが年々変化しています。

当然ながら、この変化はコンプライアンス面での「これはやっていい、これはやってはダメ」という縛り、ルールを企業も変えているからです。

そして当然、金融庁の動向をにらみつつ、このルールもまだまだ変えていくでしょう。このトレンドを注意深く見ておかなければ、営業社員は思わぬところで足をすくわれます。

 


ところで、今後は営業という職種で生き残っていくためにはこれまで以上に努力が必要になります。

ネット証券一位のSBI証券は、既に500万口座と、国内最大の野村證券と肩を並べるほどに拡大しました。大手証券がターゲットにしている富裕層顧客も一定程度は流出が見られます

個人的には、相談を受けたいというニーズはなくならないので、大手証券などの店舗型証券が、ネット証券の台頭によって消滅してしまうとは考えていません。しかし、一定数は「ネットでいい」という人がいる以上、顧客数が減り、大手証券会社の営業社員の生き残り戦争は激化します。

 


このような状況下、「証券営業一筋」で自身のキャリア40年を無事に走りきることが可能かどうかは、再検討の余地があるのではないでしょうか。少なくとも、投資と同じでキャリアも分散しておくほうが安全ではないかと思うのです。

その意味で、ある程度「キャリアの複線化」という観点を持ち、外の世界を調査しておくことをおすすめします。情報収集という名目で結構なので、是非ハイキャリア情報が充実した

  • ビズリーチ
  • JACリクルートメント
  • リクナビnext

を開いてみてください。


その他、当サイトではキャリアや転職に関する情報を発信しておりますので、引き続きご覧下さい。

 

おわり

 

Sponsored Link
Sponsored Link

人気が高い記事

-キャリア, 証券業界のキャリア
-, , ,

Copyright© 年収1000万円のキャリアと転職をサポートするサイト , 2019 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.