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【大手証券決算比較】2020年3月第2四半期(野村、大和、日興、みずほ、三菱UFJ)

更新日:

証券の大手5社の2020年3月期(2019年度)第2四半期の決算を比較しました。

最大手の野村ホールディングスを筆頭に、大和証券、SMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券です。

 

最近は相場環境もあまり良くない上、各社の要である国内リテール営業の業績も下降線。

金融庁が指導する「顧客本位の業務をせよ」という号令や、かんぽ生命の不正営業などが影響し、証券各社とも国内リテール営業にやりにくさを感じているでしょう。

野村證券に至っては、今年の春に金融庁より業務改善命令を受けてます。

 

SBI証券や楽天証券などネット証券の台頭も気になります。

 

そんな荒波の真っ只中の証券各社。

2020年3月期の第2四半期の決算(2019年7月〜2019年9月末)はどうだったのでしょうか。

 

 

大手証券5社の業績を比較

 

では、早速数字を比べてみましょう。

<2020年3月期 第2四半期 決算比較>

  営業収益 当期純利益
野村HD 3,834億円 1,386億円
大和証券 936億円 173億円
SMBC日興証券 777億円 113億円
みずほ証券 750億円 89億円
三菱UFJ HD 748億円 34億円

 

2020年3月期 第2四半期比較

 

 

1.野村HD

野村HD 決算説明資料より

野村證券を傘下に持つ野村HDの2020年3月期の第2Qの実績は、収益(一般企業の売上のようなもの)は3,834億円、当期純利益は1,386億円で着地。


去年の今頃である2019年3月期の3Qは、米中貿易摩擦だったり新興国マーケットが悪化したりといった要因で、決算は証券各社とも最悪な結果でした。(ソフトバンクの超大型IPOである程度は収益が上がったと思われるが、それでも悪かった)

また、野村はリーマン買収分の巨額減損も実施し、この期は▲1,000億円の巨額赤字となっていました。


しかし、この期をボトムに少しずつ回復が見られますね。

2019年5月(2020年3月期1Q)には、金融庁から業務改善命令が出ていましたが、業績面にはあまり影響がなかったようです。(命令が出た後は、野村を主幹事から外す動きもややありましたが)

 

2020年の1Qも2Qも、収益、当期純利益ともに近年の中では非常に高水準で着地しています。

 

今回の2020年3月期の2Qは、野村総合研究所の株式を一部売却した利益が733億円含まれているので、実力ベースの利益水準はもう少し低いと思われます。

が、それでも一定の利益を確保出来ており、主要他社に比べると回復力は高いと言えるでしょう。

 

(2019年5月に野村証券が受けた金融庁からの業務改善命令の起因となった野村総研に対して、意図的な資本関係の見直しという報道もあるようですが、真実はどうなんんでしょうね)

 


野村HDの部門は3つ。

  • リテール営業部門
  • アセットマネジメント部門
  • ホールセール部門


不調続きの海外ビジネスにもテコ入れを実施したことも奏功し、かなり低迷していたホールセール部門の収益・利益は改善しています(下図)。

野村 ホールセール部門 (決算説明資料より)

 

一方で依然心配なのはリテールの営業部門

最悪だった2019年3月期の3Qに比べれば多少はいいですが、やはり2年前3年前の利益水準を確保するには、まだまだという状態(下図)。

野村 リテール部門 (決算説明資料より)

 

昨年2019年3月期の3Qのマーケットの混乱により、野村のみならず証券各社ともその年の3Q、4Qの決算はボロボロでした。

あれから一年近く経とうとしていますが、まだまだ米中貿易摩擦など世界的に不安定な環境下で、マーケット自体の回復も途上。

 

日本の顧客層の投資マインドがほとんど改善しない中で、依然厳しい数字が続いていると言えます。

 

 

野村証券の営業部門の今後


野村証券のイメージは、やはり国内の個人客への猛烈な営業

ノルマ証券とも揶揄されますが、国内No1の屈指の営業力を背景に、富裕層に株や投資信託、仕組債を販売し、このリテールの営業部門が野村全体の実績を長らく支えてきました。

しかし、金融庁の言う「顧客本位の業務をしてくれ」との指導により、またかんぽ生命の不正営業などもありつつ、過度な収益至上主義での営業スタイルは年々難しくなっています

 

このような中で、野村証券は2019年4月に営業態勢の刷新を発表しています。

顧客の資産規模が大きいと、営業マンの提案能力もそれだけ高度なものが必要ですし、企業オーナーなどはまた違った専門性が必要です。

顧客とスキルがある営業マンを適切に組み合わせるという刷新であり、社内ではマッチングと呼ばれます。

 

これにより顧客の求める商品をしっかりと提案できる態勢に、組織構造の抜本的な見直しを、この6月以降にスタート。

 

野村の社員によれば、9月頃で概ね営業員の担当変更が完了したようです。

が、相当大がかりに担当者の入れ替えを行ったことで(おそらく会社始まって以来の規模だったようで)、おそらくこの夏は引継ぎ挨拶などで商品提案どころではなかったはず。

その意味で、今回の営業部門の数字があまりよくないのは、致し方ない面があるでしょう。

いや、むしろ相応に利益を確保しており、(しかもこの相場環境で)かなり良好な結果だったとも言えそうです。

 

 

新たな担当制では、より富裕層のお客に対して、専門性の高い営業社員がセールスをできる効率的な態勢に変わったと言われます。

この大改革により、営業社員が専門性を発揮し、リテール営業部門の業績回復が見られるかどうかが、次の決算のポイントでしょう。

 

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2.大和証券

大和証券グループ本社 決算説明資料より


2020年3月期の第2Qの実績は、収益(一般企業の売上のようなもの)は963億円、当期純利益は173億円で着地。


グラフを見ても分かる通り、2018年3月期の3Qで1,350億円の収益を叩き出して以降、ゆっくりと、着実に減収基調であることが分かります。

当期純利益に関しては、マーケットが悪かった2019年3月期の3Qと4Qでやや凹みましたが、2020年3月期に入ると、相応に回復しています。


収益に関しては、963億円という実績ですが、じつはこの数年で1,000億円を割ったのは初めてのことであり、やや心配ですね。

 

 

当社にはメインの部門が

  • リテール部門
  • ホールセール部門
  • アセットマネジメント部門
  • 投資部門

の4つがあります。

 

今回の決算ではイレギュラーな要因がありました。投資部門で▲55億円となったことも響いています(投資案件の再評価と記載があります)。

 

しかし、収益が落ちたのはこれだけが要因ではありません。

稼ぎ頭であるリテールとホールセールもあまりパッとしない結果となっています。

 


特にリテール部門の収益力低下は、割と顕著に出ています。

大和証券 リテール部門 (決算説明資料より)

 

野村証券と同様に、やはり金融庁の指導による「収益獲得のしにくさ」が数字に表れているのかもしれません。


もちろん、投資マーケット自体がこの夏はあまりよくなかったのは事実ですので、今後ある程度相場の回復があって投資家の運用意欲が戻れば、それなりの回復はあると思います。

 

しかし、また何かリセッションが少しでも起こってしまえば、リテール部門での黒字確保が危ぶまれる水準と言えるので、野村証券のような思い切った構造改革も必要になってくるかもしれません。

 

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3.SMBC日興証券

SMBC日興証券 決算説明資料より

 

業界第三位のSMBC日興証券。

2020年3月期の第2Qの実績は、収益(一般企業の売上のようなもの)は777億円、当期純利益は113億円で着地。

SMBC日興も、2019年3月期の4Qは落ち込み赤字に転落していましたが、収益も利益も相応に回復している状態となりました。

株式や債券の引受が好調だったようですね。

 

 

メガバンク系の証券会社は、独立系である野村や大和と比べて、優位な部分があります。

それは銀証連携と言われる、銀行の顧客の、証券への紹介

メガバンクの圧倒的な顧客基盤と、預金などの金融データ。連携できる情報に制約はあるものの、紹介を受けられるのは非常に強みなのです。

例えば野村であれば、自ら顧客を開拓し、どんな顧客でどんなニーズがあるか、本当にお金持っているのか分からない状態でアプローチせざるをえませんが、銀行から紹介を受ければ、このステップの多くが不要。

 

SMBC日興は三井住友フィナンシャルグループ傘下として、同じ三井住友銀行との業務連携を進めています。

銀行から証券へのお客の紹介は、公表データを見る限り、法人客の件数は運用ニーズとIB案件ニーズの両方で伸びていますが、個人客は紹介件数が鈍化しており
落ち着いた可能性があります

 

これからどのように顧客基盤の拡大を維持するのか。

これが今後の注目ポイントかと思います。

 

 

4.みずほ証券

みずほ証券 決算説明資料より

 

業界第三位の日興に迫る勢いのみずほ証券。

2020年3月期の第2Qの実績は、収益(一般企業の売上のようなもの)は750億円、当期純利益は89億円で着地。

 

みずほ証券の部門は3つ。

  • リテール部門
  • グローバル投資銀行部門
  • グローバルマーケッツ部門


みずほ証券は昨年の冬~春、2019年3月期4Qの業績がかなり落ち込んでいます。

理由は他社と同じで、2018年末からのマーケットの大荒れによるリテール部門の不調。投資マインドが冷え冷えになり、株や投資信託の販売が落ち込み、リテール部門の業績が悪化したのです。

 

しかし、そこから2020年3月期に入ると回復。リテール部門だけを見ても、1Qは赤字だったようですが、今回2Qでは黒字。

みずほ証券はリテール部門以外のグローバル投資銀行やグローバルマーケッツの収益も大きいですし、今回の決算では両部門は好調でした。


よって過去の推移から鑑みて、全部門が比較的良好な利益を確保していると言えます。

従来からコストの見直しを継続して実施していることも奏功している様子です。

 

 

ちなみに、実はみずほ証券には(決算の数字には含まれていませんが)、米国みずほ証券、通称MSUSAという会社があります。

元々はみずほ証券の米国拠点でしたが、米国の規制によって外出しになりました。

この米国みずほ証券が優秀で、経常利益ベースで今期91億円も稼いでいます

 

もちろん財務会計上は別扱いですが、MSUSAを組み合わせた実質の実力ベースでは3位と言われるSMBC日興証券の上をいっていると言っても過言ではありません。

 


ただし2年前、3年前と比較すればリテール部門の利益幅はさみしい数字です。

みずほも他社と同様に、金融庁がうるさく言っている「顧客利益の営業スタイル」を意識しており、どうしても国内リテールで収益が稼ぎにくい状態になっているでしょう。

関係者によれば、営業社員の目標ノルマも、手数料重視ではなく、預かり資産を増やすことを重視する体系になってきているとか。

 

 

メガバンク系証券であるみずほ証券も、みずほ銀行との協同戦略を推進しています。

銀行からの紹介を受けられるというメリットを活かして顧客層を伸ばしてきているみずほ証券ですが、紹介出来る顧客がある程度一服したとの話も聞かれます。

今後リテール部門の業績をどう回復し、どう伸ばしていくのか岐路に立っている状態かもしれません。

 

 

5.三菱UFJ証券ホールディングス

三菱UFJ証券 決算説明資料より


大手証券5位の三菱UFJ証券は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券(MUMSS)を傘下に持つ銀行系証券。


2020年3月期の第2Qの実績は、収益(一般企業の売上のようなもの)は748億円、当期純利益は34億円で着地。

 

三菱UFJ証券も、2018年3月期の3Q以降は、なだらかに、着実に減収基調。しかし今回で収益額はやや反転したのは明るい材料です。

純利益についても、前回はたったの8億円と、あまりにさみしく不名誉な額でしたが、今回は34億円とやや回復が見られました。

 

三菱UFJ証券の部門は三つ。

  • 国内営業(リテール営業)
  • グローバルマーケッツ
  • インベストメントバンキング

 

MUSHD 決算説明資料より

 

今期は、グローバルマーケッツが復調したことに加え、ずっと減収基調だった国内営業部門も回復しました。

 

 

三菱UFJ証券も、「顧客の利益になる営業」を意識しており、営業社員のノルマから収益目標を完全撤廃しました。

完全撤廃は、大手証券の中では三菱UFJ証券だけなのではと思いますが、収益目標の撤廃があっても収益が回復したのは一つ大きなポイントだと思います。

 

しかしみずほ証券が収益750億円当期純利益89億円と比較すると、みずほ証券と比べ収益は同じでも利益がかなり少ない点は気になります

みずほ証券がコスト面をここ数年でかなり落としていることに比べると、三菱UFJ証券のコスト面のコントロールはやや難ありかもしれません。

(みずほ証券は、銀行の店舗に証券のブースを設けるような、いわゆる共同店戦略を推進しています。こういったこともみずほは経費削減に寄与しているのでしょうか。)

 

 

三菱UFJ証券にも、米国現地の証券会社があります。MUFGセキュリティーズアメリカ、通称MUSAです。

みずほ証券の「米国みずほ証券(MSUSA)」と同じく、米国のプルデンシャル規制によって外出しになっていますので、財務会計上、決算の数字には入っていないのですが、見てみましょう。

 

みずほとの違いは収益力。

米国みずほ証券の経常利益が今期91億円だった傍ら、三菱のMUSAは9億円

米国の証券ビジネスとしては、ややライバルに水をあけられていると言えるでしょう。

 

 

 

終わり

 

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