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野村證券の店舗閉鎖について、コストカットではない本当の目的を解説します

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野村證券が国内の支店の閉鎖を発表しています。

これは2019年6月に発表されましたが、全国156店舗のうち、25店舗を閉鎖するという内容です。16%の店舗を閉めるということですから、非常にインパクトがあります。


2019年3月期は大幅な赤字決算でしたから、「赤字で収益力が厳しくなってきた野村が、コストカットのために店舗を閉めた」と認識する方もいるかもしれません。


しかし、その認識はやや外れているように思います。

 

解説

本記事では、

  • 野村の店舗統廃合の本当の意味と背景
  • 野村が何を目指しているのか

について解説します。

どうぞご覧ください。

 

野村證券に関する他の記事はこちら

 

1.これまでの野村證券の流れ

野村證券は日本の証券業界のガリバー的な存在です。

野村といえばその強力な営業力ですよね。「ノルマ證券」なんて揶揄されますが、それでもその営業力で頑丈な顧客基盤を形成し、証券業界のリーディングカンパニーとして長くその座についています。


野村證券は日本では圧倒的に強いですが、実は海外ビジネスはうまく行っていなかったんです。それで、リーマンブラザーズが破綻した際に一部を吸収することで、海外ビジネスの強化を目指しました。

しかしリーマンを吸収して十年近く、この海外ビジネスが全く上手く行きませんでした

海外ビジネスが黒字になった年は僅かです。ほぼ毎年、赤字垂れ流しの海外を、牙城の国内事業の黒字で埋め合わせる構造でした。


こういう状況で、2019年には海外ビジネスにかかる巨額の減損を計上して、およそ1000億円の赤字となりました。

このことはすごく衝撃で、国内と合わせたら全体で黒字だったこれまでと違い、国内でカバーできないほど海外が悪かったということです。(まあ、減損は一時的な処理なので、来年同じ額の赤字になることはないと思いますが)


よく勘違いがありますけど「赤字だったから、国内店舗閉鎖!」というのはそもそも少し正しくないです。

解説
赤字なのは、海外が原因ですからね

 

しかし、たしかに赤字は海外のせいなのですが、そうは言っても国内ビジネスが完璧でなくなってきていることは事実です。

よく言われているように、SBIなどのオンライン証券の台頭が安い手数料で野村の顧客を奪っているでしょう。金融庁の「顧客本位で営業せよ」という号令の元、これまでのように高い手数料を取ってのゴリゴリ営業が出来なくなっています。


そのような中で、2019年4月のインベスターデーというイベントで、野村證券は改革としていくつか施策を打ち出しましたが、その中に「店舗統廃合」がありました。

 

その後6月に、閉鎖する具体的な店舗が発表されたという経緯です。

閉鎖店舗は全国156店舗のうち、25店舗でした。

 

ちなみに、その後6月に、金融庁より「業務改善命令」を受けています。理由は情報漏洩です。

野村證券への業務改善命令の理由を解説!誰が悪くて何が問題だったのか

(野村の肩を持つわけではないですが、この改善命令は個人的には少し気の毒だったなと感じる面があります。)


その他、足元では詐欺事案などなど、ちょっと野村としては痛い問題が連続して起こってしまっています。まさに、ここ数年で最大の危機に陥っているのは否定の余地がありません。

 

 

2.「コストカットのため」は本当か

2019年3期に赤字転落した野村證券ですが、その原因は海外ビジネスが足を引っ張ったからであることはすでに述べました。

しかしオンライン証券にも客を奪われていますし、「顧客本位で営業しろ」という金融庁の睨みが厳しく、収益力が落ちてきています。

こういう稼ぐ力の低下により「コストのため国内店舗を閉鎖した」とよく言われていますよね。

 


これは本当なのでしょうか??

産経新聞などの報道によれば、店舗を25店舗閉めることでカットできる年間の経費は、14億円

14億円も!でかい!」とお思いでしょうか。


野村HDの2019年3月期の赤字は約1000億円

そして4月にコストカットを発表していますが、全体で10億ドル、つまり1100億円くらいの経費を年間で浮かせる計画だと発表しています。


1100億円規模の経費削減を目指している中で、店舗統廃合はたった14億円の削減しか寄与しません。

正直、桁が全く違いませんか。

 

加えて、店舗閉鎖をすると、不動産の契約解除や、設備などの償却、廃棄などの費用で一時的にコストが膨らみます。削減効果が表れるのは、2~3年先でしょう。


この数字を見ると、多くの方が「焼け石に水だ」と思いませんか。

それでも
小さな削減を積み重ねる"チリツモ"で、1000億円の削減を目指すんでしょ?

とお思いかもしれません。

確かに、そういう面はゼロではないんでしょうけど、コスト削減が主目的で、ただそれだけのために店舗を閉鎖するということは、普通考えにくいです。


解説
要するに、店舗の閉鎖には「別の理由がある」ということです。

 

 

3.店舗を閉鎖する真の理由


野村證券の店舗閉鎖の真の目的は、「ビジネスモデルを変えるため」です。そしてこの変化で、野村の経営陣は「従業員を半分にする」と計画しているでしょう。

 

ビジネスモデルをどう変えるのか。

それは、「すべての客にゴリゴリ営業」から、「限られた富裕層だけに高級サービスを提供」するスタイルに変えます。

限られた富裕層は、顧客の数が少ないですから、営業員も半分で済むでしょう。

 


根拠としては、当社がすでに4月に発表している内容から読み取れます。

正直、1000万円くらいの投資信託を買ってくれる小口の顧客に対して、懇切丁寧なサービスや営業は無理があります。

こういう「細い客」に比べ、5000万円くらい株をぽんと買ってくれる「太い客」も存在します。労力はさして変わらないので、当然「太い客」が収益性が高いですし、小口の顧客に同じサービスを提供するのはリターンとコストが全く見合わないです。


これまでは顧客基盤の拡大により、会社として「でかい」ことがリーディングカンパニーの証でしたが、そういう時代ではなくなりました。


よって「コストに見合わない客には、そこまで労力をかけない」という方針を打ち出しています。これは4月に明確に打ち出しています。

先ほども言いましたが、「太い客」は数が限られているので、全員の総合職の営業マンが担当できるわけではないです。

 

発表によれば、営業をする総合職を半分にわけ、「太い客の担当」と「細い客の担当」に選別します。

配置換えする人数も公表されていますが、約6000人の営業職のうち、半分半分に分かれます。

 

野村の社員によると、まさに今、営業マンの選別が行われているようです。

「細い客」には、主に電話とか、野村のオンラインサービスで取引をしてもらう方向に誘導しますので、総合職の役割はそこにあるかと言えば厳しいでしょうし、将来的なキャリア展望も描きにくいですよね。

この辺りの内容は、発表があった後で個別に解説しましたので、以下ご参考ください。

野村證券の総合職の半分が危ない!?インベスター・デー発表からわかること

 

こうした富裕層への特化戦略によって、必要な総合職は半分で済むのです。

店舗統廃合は、まさに野村がスリム化された「プレミアムサービス専門の証券会社」となるための第一歩です。

これが、「ビジネスモデルを変える」ということです。

 


このように資料を横断的にチェックすれば、会社の意図が見えてきます。単に「赤字だったから、少額でも経費を切り詰める」ため店舗統廃合をしたというのは、やや一面的ではないでしょうか。

 

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4.半分にされる営業マン

総合職営業マンは、半分で済むでしょう。

あぶれた営業マンは、一旦は「細い客」を中心に、それなりに仕事はあるでしょうけど、「太い客」にできるような、より専門的な提案の経験が積めないので、やや将来のキャリアに不安があります。


こう思って、少しずつ野村證券の営業マンは違う道を探し始めています。かつ、野村證券だけではなく、「もうかる客だけにサービスする」というトレンドは他の証券会社にも波及しています。

この業界の流れに気付いている人は、アクションを起こし始めているでしょう。


他業界に関することや、今後のキャリアについて、まずは情報収集が大事ですね。

少し将来について考えてみようかなと感じた方は、以下の記事もご覧ください。

 

転職することが全てではないですが、身の振り方を考えていくいい機会になるはずです。

 

 

5.おわりに


いかがでしたか。

今回は、野村證券を取り上げて、店舗の閉鎖の裏にある会社の意図を分析してみました。

世の中には、経緯を知らず詳細な知識もなく、インパクトのある単語だけを並べてセンセーショナルに騒ぎ立てる記事もあります。(とくに先日の野村證券が金融庁から受けた業務改善命令は、本当にひどい書かれ方だと感じます。)


しかし、よく分析するともっと深い会社の意図や状況が分かってきます

こういう情報をしっかりと収集していき、特に金融業界の方々は将来のキャリアを考える上で、正しいアクションを起こせるようにすべきだと思います。


是非、色んな情報を集めつつ、アンテナを高くして自分のキャリアをいつも考えるようにして頂き、そのお役に立てれば幸いです。

 

おわり

 

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