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野村證券はなぜ赤字に転落したのか?決算から分かる営業マンの将来

更新日:

野村ホールディングスの2019年3月期の決算が発表されましたが、最終利益は▲1,004億円の赤字でした。

これはリーマンショックが起きて以降、10年ぶりの赤字です。

 

お悩みビジネスマン
野村證券の決算が悪かったと騒がれているけど、どのくらい悪かったの?
国内の営業マンはどうなるの?


という声を想定し、決算の内容について分析しました。

 

 

野村證券と言えば、言わずと知れた日本最大の証券会社です。

証券業界のガリバーと称され、長年業界を牽引してきた野村證券ですが、今回の決算は、悪い意味でインパクトのある内容でした。


赤字の原因が何か、また国内の営業マンへの影響はあるのか、などを解説致します。

どうぞご覧ください。

 

 

 

 

1.業績の推移

 

まずは、今回と、これまでの野村證券の業績の推移を見てみましょう。

以下は税引き前利益の推移です。

 

※2019年3月期の税を引いた後の利益は1,004億円の赤字です。


最終利益が赤字になるのは、リーマンショックが起こった時期から10年ぶりの出来事です。

これはなかなかショッキングであり、インパクトのある決算でした。


この業績不振により、主要な役員60名のボーナスを全額カットするとの発表もありました。

おそらく一般社員のボーナスも相当にカットされると見られています

 


もちろん野村證券だけではなく、証券業界全体の収益が良くありませんでした。

ただし2019年3月期で赤字だった主要な証券会社は、野村ホールディングスだけです。

何が要因で、野村ホールディングスは赤字になったのかについて、詳しく見てみます。

 

 

 

2.収益の低下

 

収益、いわば一般企業の売上のようなものを指しますが、野村はこれが低下してきています。


野村ホールディングスはメインで3つの部門があります。

  • 営業部門
  • ホールセール部門
  • アセットマネジメント部門


下のグラフは、収益(≒売上)の部門ごとの構成です。

 

 

営業部門の数字は、日本国内の支店で株や投資信託を売っている営業マンが稼ぐ売上です。


ホールセール部門の数字は、日本や海外で、トレーディングやインベストメントバンキングで稼いでいる売上です。

 

全体の収益(≒売上)が次第に低下していっていますが、黄色の営業部門や、青のホールセールの売上が徐々に低下しているのが要因です。

 

 


赤字になったり、利益が下がる要因はいくつもあります。

例えば人件費やシステム開発のコストが上がったり。訴訟で負けたり、当局への罰金が増えたり。

こういうケースでは、売上は下がっていないのに、利益だけ下がることはあります。

 

 

しかし、野村の場合は、一番重要な部分である売上自体が、そもそも下がっているということです。

一時的な低迷ではなく、「ビジネスで稼ぐ力そのもの」が弱まってきていると言えるでしょう。

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3.利益の低下

 

では、野村ホールディングスの利益を見てみましょう。

利益は、先ほどの売上から、給料などのコストを引いて算出します。


先ほどの3つの部門のうち、どの部門が赤字なのでしょうか

 

 

どうやら、ホールセール部門の利益が赤字となっているようですね。

ホールセール部門が赤字である理由は2つです。

 


一つは海外のビジネスが上手くいっていないことです。

二つ目は、買収したリーマンブラザーズなどの「のれん」の減損▲810億円の影響です。


野村ホールディングスは、海外ビジネスを飛躍的に拡大させるため、倒産したリーマンブラザーズの欧州部門を買収しました。

これを軸に、海外のビジネスを軌道に乗せていこうという目論見でした。

 

 

しかしこの海外ビジネス、ほとんど黒字にならなかったんです。

 

ほぼ毎期赤字を継続し、外人のトレーダーへ日本人も驚くような高額の給与を払いながら、それでも一向に黒字化が出来ませんでした。

このような状況があり、リーマンなどの「のれん」の減損をせざるを得なくなりました。

 


「のれん」は買収したリーマンブラザーズのブランド価値です。

ブランド力を金額換算し資産として計上するためのものです。


でも、実はこの「のれん」は、「収益を生み出さないものは、価値はないよ」という条件付きなんですね。


つまり、このタイミングでリーマンブラザーズののれんを減損した(ブランド価値をゼロにした)ということは、野村の収益力が全然ないから、「リーマンの価値はある!」と言い張ることが難しくなった、ということなのです。

 


こういうわけで「リーマンの買収は、やった甲斐がなかった」と言われても仕方がない状況になっています。


せっかく買収したリーマンブラザーズが、「野村ホールディングスのビジネスに全く寄与していない」と(米国会計上)認めることが必要なほど、野村の収益力が弱まった、ということを意味しているのです。

 

 

 

4.国内のリテール営業の不振


今回の赤字の原因は、海外ビジネスやリーマンブラザーズの減損があったホールセール部門が原因でしたね。


幸いにも、中核である営業部門(日本国内のリテール営業)は黒字です。


しかし、先ほど見たように、営業部門の収益(≒売上)も利益も、どんどん下がっているのが現状です。

 

 

今回の決算が悪かったのは、マーケットが良くなかった影響もあるでしょう。

2018年の12月や1月くらいは、世界のマーケットが大荒れでしたよね。

国内の投資家は、完全に投資意欲を冷やし、証券会社のビジネスチャンスは全くなかったといいます。

 

しかし、特定のマーケット影響はあるにせよ、野村證券の営業部門の力も落ちてきていることは否めません。

 

 

野村ホールディングスの危機感が、先ほどのホールセールのみならず、この国内の営業部門にあることは確実と言えます。

 

その証拠に、国内店舗の閉鎖や、営業マンの大胆な配置転換を発表しました。

大きな駅の目の前の一等地に多くの支店を構えていますが、このコンセプトを見直すとも発表しています。

 

国内の売上が非常に厳しいので、コストを削減して黒字を確保しにいく戦略です。

この先の見通しに相当の危機感を持っていることが覗えます。

 


金融機関は間違いなく「出向させて、そのまま転籍」及び「早期退職の募集」という人件費カットを、本気で検討しているでしょう。

 

 

5.営業部門の不調の背景


国内の営業部門が苦戦している要因は、2つあります。

 


一つはネット証券の台頭でしょう。

SBI証券や楽天証券などのオンライン証券のシェアがどんどん拡大しています。

野村證券もオンラインの口座はあるんですが、なんとすでにSBI証券のオンライン口座数は野村を超えています


オンライン証券は手数料も安いですし、ネットリテラシーがそこそこある人はそちらに流れていくのでしょう。

 

野村證券など、「対面での接客」をメインとしてきた証券会社は厳しい環境に直面しています。


それにしても、ネット証券の頂点に立つSBI証券の社長である北尾氏は、野村證券出身者であることは皮肉な話ですね。

 

 


二つ目は、「顧客本位の業務」です。

これは、金融庁が金融機関に対して要請している業務方針です。

顧客のことを考えたビジネスをしましょう」というものです。


従来、証券会社は、株や投資信託をお客に買ってもらって手数料を稼ぎます。

 

顧客が「売って、買って」を繰り返せば、証券会社は儲かる仕組みになっていたんです。


よって、その株が上がっても下がっても関係なく、何度も売買を繰り返してもらえば、手数料が稼げたんですね。

こういう「売って、買って」を繰り返すことを、業界では「回転売買」なんて表現します。

 

金融庁は、この「回転売買」に相当厳しい目を向けていることで、証券会社は手数料を稼げなくなってしまっているんです。

 

 

 

6.今後の見通し

 

これまでご説明したように、国内ビジネスも海外ビジネスも、かなり苦境に陥っている状態です。

この記事を読んでくださっている方はほとんどが日本の方だと思いますので、
海外というよりは、国内の営業部門の話をします。

 


国内の営業ビジネスにおいて、今の営業スタイルでは、収益力が戻ることはまず二度とないでしょう。

金融庁が「顧客本位の業務方針」を撤回することは考えられませんし、ネット証券が消えてなくなることもないでしょう。

 

 

野村證券の国内収益力を戻すには、オンラインのサービスを飛躍的に発展させることが必要でしょう。

 

そして同時に、手数料を払っても相談したい富裕層に絞ってアプローチすることでしょう。

営業員に必要なのは、富裕層が悩んでいる数多くの金融の課題を解決できるようなスキルを身につけることです。


これまでのように、株や投資信託を買いませんかというアプローチではだめです。

 

富裕層の数あるニーズに応えられる必要があります。

例えば相続や、事業承継、税金のことや不動産のことなど、あらゆることを知っておく必要があります。


野村證券は、先日のインベスター・デーでも、これまでの富裕層顧客のみならず、法人やオーナーにも注力する方針を打ち出しています。

こういう人たちに、事業承継ソリューションなどを提案するということでしょう。

 

こういうことを見越して、一部の営業マンはCFPの資格を取るなどの動きが見られます。

 

 


また手数料を払っても相談したい富裕層は数が限られますので、営業マンの競争は激化するでしょう。


法人や、そのオーナーへの事業承継などの提案に手を出すということは、メガバンクとの競争になるということです。

証券分野で戦ってきた三菱UFJ証券やみずほ証券との闘いとはワケが違います。

まさに法人取引を主戦場にしてきた「銀行」本体と競合するということです。

その分野は、決してブルーオーシャンではありません。

 

「ここで戦うくらいなら...」と、転職を視野に入れている方もいます。

 


特に、先日のインベスター・デーで野村證券は営業マンの担当を振り分ける案を発表しました。おそらく能力別で担当を分けられてしまい、能力がない人は厳しいキャリアが待っているでしょう。

 

 

 

一度くらいは、違う仕事を見てみるのも良いと思います。

 

資格を取って能力をアップさせるのも、別の仕事をして経験を増やすのも、同じ効果が見込まれます。

 

 

ビズリーチなどのハイキャリアを扱うサイトや、JACリクルートメントやリクルートエージェントなどのハイレベル層が相談するエージェントと繋がっておきましょう。

 

いざという時に対応できるようにしておくことは、リスク管理として是非やっておくべきでしょう。

 

そもそも、顧客へは分散投資をお薦めして、自分のキャリアは「銘柄一本」というのはどうなのでしょうか。

 

 

 

 

7.まとめ

 

今回は野村證券の決算を分析してみました。

国内も海外も、なかなか厳しい環境が続いています。

 

厳しいのは野村證券だけではないんですけど、それでも赤字だったのは野村證券だけです。

 


こういう現状を見て、資格を取ったり、別の仕事を探したり、とりあえず何か行動することが必要かと思われます。

 

金融機関は間違いなく「出向させて、そのまま転籍」という人件費カットを、本気で検討しているでしょう。

 


そうなっては遅いですし、そもそも新しい職探しにも、いい条件の就職先は見つからないでしょう。


何でも先に行動する人のほうが必ず勝ちます。


まずは今日から、何か始めてみましょう。(かく言うぼく自身も、転職をしたり資格取得を目指したりして、危機に備えられるよう頑張っています)

 

 

おわり

 

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