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野村證券の総合職営業の半分が危ない?インベスター・デー発表から分かること

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野村證券の総合職の構成を大胆に変える改革案を、当社が4月4日のインベスターデーというイベントで発表しました。

 

中身は営業職員の顧客の担当体制を改良するというものでしたが、事実上は"質の低い総合職"の選別でしょう。

もしかしたら彼らの将来的な給与カットと「自主退職」を促すような動きに繋がるかもしれない大きな改革です。


解説
本記事では、野村證券が発表した今回の改革が、「営業をしている総合職」にどのような影響を及ぼすのかを解説します。

 

 

日本の証券業界のトップに君臨する野村證券。

しかし近年は海外部門の不調が続き、牙城の国内リテール(個人)営業ですら業績が芳しくありません

海外のコスト構造改革の遅れが度々指摘されてきましたが、ついに日本国内リテールという聖域的な部分にもメスを入れます。

総合職を能力次第で選別していくようです。

 

 

終身雇用が崩れてきたという実感や、「営業職」というものの脆弱さを認識させられるような発表でした。

 

証券会社や金融業界にお勤めの営業社員の方に、是非読んで頂きたい記事です。

(本記事では、現役の野村證券の社員の方にもお聞きした情報を含んでいます。)

 

 

 

1.野村證券の近年の業績


野村ホールディングスの永井氏は2012年にグループCEOに就任しました。

永井CEOが就任してからは、アベノミクスの追い風もあり、70兆円弱だった野村の顧客預かり資産残高は、110兆円を超えるほどにまで拡大しました。

(参考)日経新聞記事より

 

リーマンショックを引き起こしたアメリカのリーマンブラザーズという会社がありましたね。

リーマンブラザーズの欧州を中心とした部門を買収したのが、野村ホールディングスです。

 

 

ところが、買収によって拡大を目指した海外事業がいつまでたっても赤字なんです。

2017年3月期には海外事業が黒字になったのですが、基本的には赤字続き。赤字垂れ流しの海外事業を、牙城の国内事業の黒字でカバーする構造です。


2019年3月期においても、金利低下などのマーケット環境が良くない関係で、業績は一向に回復しませんでした。

 

 

ついに最近、買収した米リーマン・ブラザーズなどの"のれんの減損"を実施しましたね。

のれんの償却をするということは「買収したリーマンブラザーズは全く収益の役に立っておらず、価値がありませんでした」と言っているのに等しいんです。

のれんについて参考

「のれん」はいわゆるブランド価値を金額化したものです。

野村が採用している米国会計基準(USGAAP)では、毎期そのブランドが収益貢献しているかどうかを判断します。

チェックの結果、会社の収益に貢献していないと判断せざるを得ない場合、のれんを償却する仕組みです。

ブランド金額を償却するということは、単純にその金額分の損失が発生します。

 

リーマンが役に立たなかったのか、野村が活用できなかったのかは定かではありませんが、少なくとも買収の甲斐はあまりなく、海外ビジネスが上手くいっていないことが推測できます

 

これにより2019年3月期は12月時点で、約1,000億円を超える連結最終赤字を記録しています。

 

不調なのは海外だけではありません。

頼みの綱である国内事業。その中核である国内リテール(個人)営業部門も苦しんでいます

金融庁からの圧力もあるのか「お客本位での営業」を進めているようですが、営業スタイルを変えても収益の下落に歯止めがかかっていません。

 

 

株価が乱高下したり、挙句のはてにはソフトバンクのIPOが見事に株価が上がらず、個人の投資家が、投資の意欲を大きく失っている環境です。

こういう状況の中で、国内リテール営業の抜本的な改革の必要性が内外から指摘されていました。

 

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2.野村證券が発表した改革とは

 

2019年の4月にインベスターデーというイベントを開催した野村證券は、海外のコスト削減や規模の縮小路線を発表しました。

加えて国内リテール(個人)営業の「担当分担を変える」という改革に着手すると発表しました(今回はここに注目しています)。


野村HDのIR資料

 

野村の社員「総合職として入社している社員はウェルスパートナー課というところに配属されてリテール営業をやっているのですが、このウェルスパートナー課が解体され、2つに分けられるようです



野村證券の総合職には、総合職Aと総合職Bという採用があります。彼らはウェルスパートナー課というところで個人客向けに営業をしてきました。

富裕層から、マスアフルエント層、そして少額しか運用しないマスリテール層の全てを対象にしています。

 

 

資産が1億とか5億とかの富裕層~超富裕層、それから1,000万円くらい運用してくれるマスアフルエント層。

上から下まで、これまで総合職が担当して、営業に行っていました。(さすがに、一番下のマスリテール層は、総合職ではなさそうです)

 

 


最近は「お客さま本位の営業活動!」を合言葉に、「じっくりとお客さんの求めているニーズを聞く」という営業スタイルへの改革を進めてきました。

 

コンサルティング型の営業」と表現してもいいかもしれません。(以前の積極的な飛び込み営業、電話営業を日経新聞は「猛烈営業」と表現していますが、これと対照的な表現ですね。)

 

 

ただ、こういったコンサルティング型の営業スタイルは、一人ひとりのお客さんに割く時間が長くて非効率だったのでしょうか、収益は上向きにならなかったようです。

(森田敏夫Co-COOの資料で、収益が落ち込んでいる推移がグラフになっています)


そこで今回、野村證券は、以下のように国内リテール(個人)営業の態勢を変えることを発表しました



 

これは、今回野村證券が発表したチャネルフォーメーションの変更です。

総合職を二つに分けると言っています。人数割りも公表されていましたので、現実感があります。

 

 

「できる営業社員」「できない営業社員」で区分するというのは、筆者が勝手に追加した予想です。

単にランダムで総合職を二つに分けるとは考えられないからです。


成績のいい営業員は富裕層の客を担当し、あまり成績がよくない営業社員が、あまり資金を持っていないマスアフルエント層を担当するようになるのは明らかです。

 


というのも、

  • 上の層は「高度なコンサルティング、複合的なサービス提供」を行う
  • マス層は「来店や電話で対応」

と明確に発表しました。


当然、成績のいい営業社員に「高度なサービス」を任せるのは自然な話だと思うのです。

※2019年8月現在、一旦は総合職Aと総合職Bの基準で分かれる動きになっているようです。

 

 

3.選別された総合職の先のキャリア


ご紹介したように、野村證券が発表した国内リテールの改革は、「総合職の約6,000人を半分に分け、能力で選別して担当顧客を分ける」という構想です。

 

これは極めて衝撃的な発表です。

もし富裕層を担当できなかった総合職はどうなるでしょうか??

 

マスアフルエント層は、基本的には「来店と電話」で「効率的に」対応する、と書いてあります。

富裕層を担当している営業マンは「高度なコンサルティング」を学び経験出来ます。

一方、そうでない営業社員は「そういうのはいいから、電話かけまくって数を稼げ」というスタイルです。

明確に能力の差、キャリアの差がついてしまいますよね。

 

 

また、2020年4月には、新人事制度を開始するようです。どういう制度かと言えば、実質の給与カットでしょう。

資料内に"Pay For Performanceの徹底"というフレーズがあります。「能力やパフォーマンスがよくないと、金は払わないよ」というメッセージが色濃く出ています。

 


富裕層を担当出来なかった総合職は、高度な知識を付ける機会を失うことに加え、年収もダウンしてしまうということです。

 

お悩みビジネスマン
もし自分が「富裕層担当」になれなかったとしたら...

モチベーションはすごく下がりますよね。

 

 

おそらく、野村證券側も社員のモチベーション低下は予想しているでしょう。

 

もしかしたら「退職をしてくれてもいい」とすら思っており、「自主退職」を促しているとも考えられなくもないです。

なぜなら今回の発表では、人を減らしたい意向がかなり見え隠れしています。

 

今回のインベスターデーでは「国内の156店舗のうち、30店舗を閉める」とも発表しました。

対象店舗は6月に発表されております。コストカットではない、店舗のリバランスの真の目的を解説しています。

野村證券の店舗閉鎖について、コストカットではない真の目的を解説します

 

総合職はその分不要になってしまうので、退職による自然減はもしかしたら好都合かもしれません。

 

また、いずれにしても、電話対応やネット証券への誘導は、あと5〜10年で完全デジタル化、AI化するでしょう。

電話をかけまくるだけの総合職の居場所って、あると思いますか

 

 

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4.取り得る選択肢

今回はたまたま野村證券での発表でしたが、他の金融業界にも波及する可能性がある、インパクトのある改革だったと思います。

 

と言っても金融業界は全体としては基本的にはまだまだ黒字ですし、いきなり倒産することはないです。野村證券も、赤字といっても減損処理で赤字だっただけですので、来期同じ額の赤字ということは、まずないでしょう。

 

もっとひどい業界は山ほどあります。金融業界は、むしろ余裕がある時に先んじて改革を進めていける体力があると言えます。

 


ですので、慌てて会社を去る道を模索する必要はないかもしれません。

しかし5年後、10年後のキャリアを考えた時に、どのように生き残っていくのかを考え始める、良いきっかけではないでしょうか。

 

どこの業界も同じですが、意外に収益とコストを分析することって難しいんです。

どの分野に人員を投入して、どこから利益が出ているかを検証することは、大企業は意外に困難です。

しかし、徐々にこういた分析がデータアナリティクスの進歩によって可能になってきており、「儲かってるところ、儲かっていないところ」や「稼ぐ人、稼げない人」がシビアに割り出されていきます

 

この先は、「給料だけもらって、あんまり仕事できない」というフリーライダー的な人は淘汰されていく厳しい環境になりそうです。

 


そんなときに自分を助けてくれるのは、やはり「多くのスキル・経験」だと思います。

これから厳しい道を歩む人は「どこにでもいる人」です。「よくいるキャリア」では、完全に「その他大勢」に埋もれてしまいます

逆に複数のキャリアや経験があれば、それがビジネスマンとしての価値を高めます。

 

ぼくもこのトレンドを念頭に、色んな経験を身に付けたいと思い、転職などでキャリアの幅を広げている最中です。

 

会社はもう守ってくれませんし、自分で自分の価値をコントロールしなければならない時代だと感じています。

本当に大変な時代に生まれてしまいました。

 


皆さんも、転職や資格の取得など、自分の幅を広げる手段を検討されてはいかがでしょうか。

 

資格は、特にUSCPA(米国公認会計士)をオススメしています

この資格は、特に金融機関出身者であればとっつきやすいですし、その先のキャリアや将来性が圧倒的に高いです。

 

 

 

また、CFAを取得して転職に成功している方も多いです。

こちらも金融機関出身者であれば、受かりやすく、効果も高い資格として有名です。



そのほか、転職全般でお悩みであれば、以下の記事もオススメです。

転職して年収・給料を上げる方法は2つ(実体験に基づき解説します)

 

 

 

 

 

 

おわり

 

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